Celpe-Bras2013-2レポート(ブラジル・ポルトガル語検定)

毎年10月20日はブラジル連邦共和国教育省が主催する
「外国人のためのブラジル・ポルトガル語検定試験」です。
世界各地で同一の日に開催される珍しい試験で、
筆記試験180分4問と、口頭面接試験が20分3問出題されます。

せっかくポルトガル語を勉強しているので、受験しようと申込みをしました。
この試験は京都での開催ということもあり、そこで既にハードルが高く、
かつ申込みからポルトガル語で、早くも挫折しそうになります。
過去問や対策講座もない、まだ余りポピュラーでない試験なので、
今後受験される方の参考にればと思いレポートします。
2013年の筆記課題は次の4問でした。全員同じ問題に取り組みます。
※試験問題もポルトガル語のため、あくまでも「多分こういう出題のはず」という
 筆者の拙いポルトガル語理解の範囲です。ご了承ください。

1)
DVDを観て、建築で有名な首都ブラジリアの空を、ブラジルの無形文化遺産に
登録するため、IPHANに申請する担当者になったと仮定して申請書を書く。

2)
都市から離れて暮らす人々、学校がない地域のための教育プロジェクト
“Escola Aberta”に関するラジオ放送を聴いて、学校教育関係者に提案する
企画書を書く。(ニュースをラジオで聞く)

3)
障がい者と旅行に関する記事を読んで、旅行代理店の担当者になったと仮定し、
障がいのある人たち、車椅子など移動が困難な人たちでも、山岳・河などを旅
できるアドベンチャーツアーを企画する。
新規事業について、その特色や安全性などの対策を含めて広報の紹介文を書く。

4) 
記事を読んで、独り暮らしと肥満症の関連性について述べる。

口頭試験の課題は次の3問。
複数ある問題から試験官が3問を選びます。私が当たった問題は次の3つ。

1) 砂糖と炭水化物の中毒性について
2) 家計をコントロールし、赤字を作らない秘訣とはなにか
3) 感情を表情で表現することのメリットとデメリットについて

筆記試験は最初にノートが配布され、A4の用紙一枚に小論文形式で文章を
つづって行きます。3時間で4つの課題なので、マラソンのように迷いなく
書き続けなければなりません。
終了すると受験生はみんな大きなため息で、ペンを置きます。
(筆記試験は全てボールペン書き)
面接での口頭試験は、その日に行われる人もいれば、翌日になる人も。
一番遅い人は翌々日になります。私は筆記試験の翌日でした。


※会場の京都外国語大学

私はポルトガル語の学習は主に、Lesly Watanabe 先生に、2003年に
上智大学の社会人講座を受講して以来ずっと個人授業、またはカポエイラの
グループでの授業をお願いしてきました。

CELPEの試験は独特で、CELPE用の準備やトレーニングがある程度必要
なので、大分前から先生にCELPE用のクラスをお願いして取り組みました。

昨年は同じ上智のクラスで勉強していためぐみさんが、海外の
CELPE対策テキスト(ポルトガル語のみ)を貸して下さり、おかげさまで
何とか点数を取ることができました。
CELPEの試験は本当に難しくて、毎回レズリー先生は大きな忍耐をもって
模擬練習をしてくださいました。

今年は「耳が喜ぶポルトガル語」テキストを花田さんのお勧めで購入し勉強しました。

この「耳が喜ぶ~」シリーズは、CELPEと同じくらいのスピードのリスニングが鍛えられる
だけでなく、トピックがCELPEの対策になるような内容が多く、とても良い勉強になりました。
おかげさまでリスニングは大分鍛えられ、このテキストのおかげで予習していた内容もあって
よく理解できた!と思ったのですが… そんな時こそ落とし穴、結果は…

毎年クリスマスの時期に結果がわかるのですが、私はなんと、去年と全く同じ点数でした…
みている年度が間違っているんじゃないかと目を疑いましたが、何度見ても同じ…Intermediário…
残念ながら1年の間にあまり成長がなかったということですね…。

CELPEの大きな特徴は小論文形式だということで、出題の内容について
自分の意見を述べなければなりません。
状態を表現することはできても、ポルトガル語で意見する、ということは
なかなか不慣れで難しかったです。
マークシートではなく、書いた小論文を評価されるので、文章力が問われますし、
環境、労働、経済、教育、保健衛生、歴史、文化と多岐に渡るトピック、
社会的な問題や現象に対しての興味関心を問われます。

この試験勉強を通じて、ブラジル文化が何故こんなにも豊かで多様性に
満ちているのか、そして現在、ブラジルが大きな勢いに乗って発展を
遂げている、非常に魅力に満ちた国なのだということを改めて知りました。
語学を学ぶということは、その国のことを知ることに他ならず、勉強は
とても楽しいものでした。

しかし、試験もブラジルらしいというか、試験の様子を少しご紹介します。

面接会場に入ると、面接官と、オブザーバーの先生が二人います。
オブザーバーの先生「あれ?君は去年も受験したよね。今年も?」
そうかーもっといい成績を残したいと思ったわけだね」と楽しいお喋り
から試験が始まります。
しかし、面接官の先生はお疲れなのか、下を向いたまま目も合わせて
くれません。どうしたのでしょう、気になります。

・・・・・

それでは、一問目です。この絵を見て下さい。
「チョコレートはあなたを痩せさせる」と書いてありますが、信じますか?
-信じません。どんなチョコレートであっても、「食べて痩せる」ことはないです。
もし食べて痩せるチョコがあったら、怖くて食べません。

「チョコレートや砂糖に中毒性があると思いますか?」
-思います。私が中毒です。

「フライドポテトはどうですか?たとえばこれをみて(どんなに化学的で
不健康な成分かがわかっても)もやはり食べたいと思いますか」
-身体に悪いとわかっていますが、食べたいです。炭水化物と砂糖は、
食べれば食べるほど、もっと食べたいと思う中毒性があると思います。
私自身がそうです。

「ブラジルには(名称を忘れました)“○○○”というリキッドの砂糖がありますね。
ダイエットにいいと言われていますが、コーヒーなどに使いますか?」
-使いません。味が科学的で、信用できません。

すると、面接官の先生は急に身を乗り出して
「…そうか、いいかい、ホワイトチョコレートってのがあるね。
あれはカカオの脂肪だからね、身体に悪いから止めた方がいい。
これからはスーパーに行ったら、必ず“カカオ80%以上”と書いてある
チョコレートを買うんだよ。日本では売ってるでしょう。
それに、日本には“黒糖”っていういい砂糖があるね。
白い砂糖はやめて、全部“黒糖”か“てんさい糖”にしなさい。
僕も今健康のために食べ物の調整をしているんだけど…」

と、私の面接のはずが、先生の健康への取り組みを聞く流れに…
あ、まずい!この流れまずい!(面接の様子は録音され、ブラジルで
評価されます)私ではない人の内容になってる!!
と慌てましたが、面接自体もとても楽しいものでした。
良くできた、できないという評価ももちろん大事ですが、人柄や
性格などをそのままに、創意工夫をしながら会話し、意見を述べる
ことができ、また、先生方も協力的な姿勢を試験の中に持って下さいます。

試験に行く前にレズリー先生が
「笑顔でね、“ありがとう”って言って、わからないことは
“もう一度いいですか?”って正直にきくのよ。
試験官も人間だから、絶対助けてくれるから。」と言っていたのを思いました。

筆記試験のあとは、京都の友達のおすすめの鞍馬の火祭を観に行き、
翌日の口頭面接試験の後は、GCAP京都でカポエイラ・アンゴラの練習に
参加しました。

どっちが目的なんだ?というくらい京都の滞在は毎回とても楽しいです。
まるでバイーアにいるように、そこに暮らす人たちは私達がそこを気に
入るように、いろんな心配りをしてくれ、温かく迎えてくれます。

鞍馬の火祭は、カーニバルかというほどの行列でした。
シャンゴーの炎が燃えていましたよ。

来年こそはもう少しいい点を取りたいなと思い、さすがに新しくテキストを購入しました。
今年の目標は、文法の強化と、アウトプット能力を上げること。
語彙と表現力をあげることを目指して頑張りたいと思います。

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