Celpe-Bras2016外国人のためのポルトガル語検定レポート

2016年のブラジル教育省検定試験外国人のためのポルトガル語検定レポートです。
前回の2014年の試験のレポート、セウピの概要はこちらから。

今年は試験の前に過去に怪我した足首を負傷するというアクシデントがあって、もう厄だなとそれなりに落ち込んでいたのですが、秋晴れの天候の中、新幹線で小田原からブラジル人の親戚一族が乗ってきて、両腕にタトゥー全面ボリの青年がおばあちゃんの手を引いてあげて、仲良くポッキーやサンドイッチを分け合っている姿を見ていたら、足の捻挫で厄は落ちたのかもと思えてきて、ぷらっとこだまは京都に到着しました。
次回の自分へのメッセージも含めて気が付いた点を書いていきます。受験される方のお役に立てば幸いです。
※(試験は全てポルトガル語で進行しますので、出題自体を間違えて理解している場合もあります。同じ試験を受験された方がいらしたらご指摘・ご意見を頂けますと幸いです。)


一日目、筆記は3時間で4問の作文です。毎度ながら時間が足りなくなります。
1問目は映像を見て聴いて、指示された内容を作文します。

セウピ対策と思ってGloboやFacebookで流れて来るニュースを書き取る練習をしましたが、スピードに慣れていなかったので、2回だけの放送で要点のメモを上手にする練習が要るなと思いました。

今回の出題も現地ニュースからでした。
下記Globoの映像がそのまま出ましたので、参考までご覧ください。

https://globoplay.globo.com/v/3382997/

作文課題は、リニューアルを終えてオープンする移民博物館を、大学の国際部の広報担当としてサイトで在学の留学生に紹介する記事を書くというもの。
これについては、3ヶ月前に旅行したリオで散々美術館博物館めぐりをして下調べもしたので、その時の語彙が助けになりました。(リオのMuseu do amanhã が出題されるんじゃないかと思っていた)

2問目は音声だけです。ビジネスパーソンの対談を聴いて、部署の部長として、マルチタスクをやめ、一つ事1つ目の前のことに集中するという仕事の進め方をチームメンバーに推進するメールをする というもの。

3問目は記事を読んで、サンパウロの都市の中で、都市型農菜園を広める活動を促進するため、畑を持っている人に、プラットフォームサイトへの畑の登録を促して自分の地区でも発展させるよう募集するブログを書く というもの。※出題ももちろんポルトガル語なので、違っているかもしれません….

第4問は、大量消費社会と過剰な量と仕掛けで迫る広告宣伝の関係について、もたない生活、シンプルライフについての記事を読んで、サンパウロ新聞の読書欄に意見投書する というもの

第4問はいつも一番難しくて、抽象的な書き方をしている文章です。終わってから周りの人達と話していてもこの問題は出題の意図も分かりづらくてみなさん難しかったと仰っていました。とにかく自分なりに解釈して自分の意見を書き込みました。毎度時間が足りず、3問目の清書が終わったあたりでもう手が痛くてこれ以上書けなくなってきて、もはやアドレナリンがでてきて、文字を書き付けるマラソンみたいな気持ちになってきます。左手で書くか、口でくわえて書くか?みたいな発想がでるほど(筆圧高すぎる汗)

終了時間ギリギリまでとにかく書きました。信憑性がないのですが、「とにかく埋める」「修正を減らしてきれいに書く」(セウピは下書きノートが配布され、そこに鉛筆で下書きをし、回答用紙にボールペンで清書して提出するやり方になっています。修正テープ、フリクションペンなどは使用できません)と聞くので、書きに書きました。

この一年どんな勉強をしていたかというと、動画の聴き取りをして、日記を書くということをやりました。どんな動画かというと、ここ最近ハマっているラッパーのEmicidaとCrioloのインタビューと、PVのメイキングを聴いて書き起こししていました笑 身近に社会問題に触れるにはヒップホップは楽しいから。あとはフェイスブックで流れてくるトピックで気になるものをおこしました。たとえば下記のようなもの。

Celpeはブラジルで行われているEnemという試験がベースだと勝手に思っているので、エネンの出題を参考にしました。作文はブラジル教育の基本なのではないかと思いますが、これはとても良いことと思います。様々な社会問題について考え、自分の考えを表現するということがまず教育の基本。エネンの今年の予想課題は、ジカ熱、デング熱などの伝染病、難民問題、ジェンダー、ハイテクノロジー、バイオエネルギー、持続可能な農業などです。

大切なのは第1問の対策としては要点メモのスピードに慣れる。(音声をききながらメモる)二回のヒアリングだけで要点をまとめ慣れること。開始前に手を動かしておくこと。必要無いのに緊張して、書き取れなくて焦るからです。手が慣れてない感じで、テンションも変なので妙に動けない。試験が始まる前に手を動かしておかないと追いつかないと思いました。

第3問は、長文の文章を読み慣れる。第3問は大概募集をかける内容なので、募集をかけ慣れるようにしておくこと。
ブログ、メール、投書などの書式が決まっているので、適切な文章の頭語と締めの言葉をおさらいしておくこと。
長い文章の中で私は数字と、地名、人名の把握が苦手です。時間切れが見えてきているので、気持ちが焦って詳細を読み飛ばしてしまう。速読能力はポルトガル語でも同じです…
そして毎度この3問目は出題の書き写しになりがち。長くて詳細な文章に読み慣れることが必要。


※これが学習ノート、インタビューを起こしたものです。

2日目の口頭試験は20分で3問。その前に何故ポルトガル語を学んでいるかなどの質問があります。ここで質問された「なぜアフロブラジル文化に、よりよく生きるヒントがあると思うのか」に、思いがけず答えにつまってしまいました… 大事なことほどうまく話せませんでした。

試験の様子は録音され、本国へ送られますので、はっきりと答えて録音されねばいけません。
口頭試験は、A4サイズの紙にイラストが描かれていて、それについて面接官が質問をします。

第1問 「人生における成功に必要なものとはなにか」
ヒントとして、「影響力のある友人」「運に恵まれる才能(?)」などがかれています。いくつかわからない単語が….こうなると分かる範囲で言えることを言うしかありません。
面接官「人生の成功とはなんだと思いますか」
私「人生の最期に目を閉じて、いい友達といい家族と過ごせたと思えること。いい想い出がたくさんあること」
面「人によっては成功の形は別なものかもしれませんね。あなたにはこういう才能とか、運とか、影響力のある友人は必要ない?」
私「成功の形を、経済的に、物質的に、持っているもので測る人もいると思います。いい家とか、クルマとか。仕事で成功をおさめるというのも、ひとつの成功だけど、死ぬ時はみんな一緒で、何も持っていかれないから、私は人とのよい記憶と想い出が大切だと思います」
面「では、あなたはそういう意味で、人生における成功者ですか?」
私「(と、ここでやっぱりだまってしまうのですが)……….はい」
面「では、人生における〝最悪の成功〟とはなんですか?」
私「全てを手に入れたのに、周りに良い関係を持てた人がひとりもいないこと。良い影響を与えてくれる友だちは必要だけど成功のための友人は要りません」というようなやりとりをしました。

2問目は男性がお化粧をすることと、男性用化粧品市場についての質問。
私「こんにち色んな性の形があるから、男性がお化粧をするのはいいと思います。美に気をつかうのも良いことだと思う」
綿製「あなたは自分がお化粧してちょっと気取って自信満々な感じ(vaidosa)にはならない?」
この「Vaidosa」から何を聞き出したかったのかいまいちわからなかった….
私「お化粧は、自信満々になるためのものですか?美しさは内面、自分自身からでてくるものだから、お化粧では隠すことができないと思います」
面「じゃああなたは何故お化粧をするの(実際してるけど)?」
私「美に気を遣うことは、自分に信頼が持てるようになるから」
面「ふーん、じゃあ君にとってはお化粧は君に信頼感をあたえるものですね」
私「….」
面「男性がお化粧をすることでvaidosoになることについては?」この質問本当に意図が読み取れなかった….
そこからブラジル人の男性はネイルサロンに行くし、ネイル整えてる人が多いという話しになり、先生も京都でいったけど、高くて…みたいなまた〝おしゃべり〟に。
先生たちこのひとヤバいな〜と思ったはずです。顔に書いてありました。この「おしゃべりの鐘」は、落第を知らせる鐘です…

3問目はコミュニケーションツールの活用についての質問でした。

つくづくポルトガル語を勉強するということは、ブラジル社会に関心を持つ、ということに尽きるなと思わされます。
口頭面接の勉強は、短い質問に答える練習をすることかなと思いますが、何より、こうしたトピックについて応えられる自分の芯を作ることが大切だと思います。これは語学に関わらずです。私は今回は口頭面接の方が手答えが薄かったです。

面接官のカルヴァーリョ教授は懲りない私に君のこと憶えてるよ、と言って下さり、先生も去年から京都でカポエイラを始めたのだそう!しかもオブザーバーの先生がサルヴァドールのイタポアン出身で、「イタポアンのイタはトゥピ語で石って意味なんだ」とか、なんだかこのおしゃべり的雰囲気、このまま落ちてしまうんじゃなかろうかと不安になりました。
面接で、落ちてしまいそうな人に対していい感じの世話話をする、みたいな話がありますが、実際それだったのです。

結果はなんと、2014年受験から比べて、点数が下がって、万年intermediário (中級)でした。しかも、及第点ぎりぎりで汗 あやうく落第するところでした。
500点満点で、268点だったのが、一気に238点に…かなり苦い点数でした…
ちなみに及第点が200点からで、200点以下は不合格ですから、ぎりぎりでした。
この4年間は普通に勉強して、2年の間に進歩がなかったとは受け入れ難く、結果は本当に残念でしたが、結果は結果。受け取るしかありません。
口頭面接は、面接官の先生方はなんとかなるように応援してくださった気がしますが、音声のみ本国へいくわけなので、そこはJeitinhoもなく容赦なく採点された結果です。

モチベーションが下がるし、来年受けるのやめようかな、とくじけそうになりますが、あきらめずにトライしようと思います。
日本はこの手の試験は苦手みたいで、4人に1人しか及第していないと聞きます。実際この試験はかなり難しいですが、自分にあと一回チャンスと思って、来年も受験しようと思います。懲りないから。
会場ではお仕事で浜松在住のブラジル人に関わっている方々に出会い、ご縁あってその後浜松のブラジル人学校をご案内いただきました。
試験が繋いでくれるご縁もあるものです。


※ムンド デ アレグリア学校の文化祭に連れて行っていただきました。

私が言語をわかりたいと思ったきっかけは、初めてのブラジルで私のカポエイラの先生トニーと奥さんのアニーが半分ケンカ、半分仲良くテーブルでおしゃべりしていた時に、本当に言っていることがわからなくて、でもとても楽しそうな二人と一緒にいて「この人たちのことを理解したい」と思ったことからでした。

カポエイラ、というかブラジル文化の世界は深く広く、たとえば歌の歌詞ひとつとっても言葉の表面は理解できても、その裏に隠されている意味を知ったり、時代背景や関係性を理解するには言葉の力が必要な時があります。
歴史も、文化も、人種も異なる人々が暮らす国、多様な文化が織り交ざっているので、観た目だけでは理解できない複雑性も兼ね備えている、その文化を少しでも理解したいなと思って、勉強を続けています。
また、少し言葉がわかるというだけでも、ブラジルの人たちは本当に喜んでくれる人が多いです。自分たちの言葉や文化を理解してくれる人がいるということに、感謝と歓迎の気持ちをもってくれます。いつもトニーが道場で子供達に言う言葉「この人たちは地球の裏側に住んでいて、私達の文化を学びたいと思ってここに来てくれているんだ。」そのことは、自分たちの文化に価値があることを示すし、自分たちの文化を見直し、同時に誇りに思うきっかけになります。私はブラジル文化に人生を豊かに活きるヒントがたくさんあると思いますし、自分らしく生きるということを尊重してくれる、そして人の中にある自分、人と助け合って生きるということを教えてくれると思っています。進歩は(ブラジルのように)ゆっくりだけど、これからも続けて行くと思います。


※いずみさんが菜食ランチを作っている「ロクジアン」

今回も京都のゆきえさんのおうちにお世話になって、ゆきえさんのヨガを受けて、いずみさんのカポエイラレッスンにビリンバウだけ参加して、いずみさんの菜食ランチを食べに行き、久しぶりに宮﨑くんさっちー夫妻と会って赤ちゃんとご対面し、岡山まで脚を伸ばして、クルプシさんに会ってきました。ポルトガル語の試験はなんで京都だけなんだって思うけどそれを口実に会える人がいるから、いいなと思います。

来年も8月に募集、開催は10/18-20(うち2日)です。
10年以上私の遅々たるポルトガル語に忍耐強くご指導くださるLesly先生に報告も終え、今年も終わりました。
先生に心からの感謝を込めて、そして苦い苦い結果を運んでくれたPapai Noel(酸汰さん)にも、ありがとうございました。
みなさま、Feliz Natal! 

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